授業料無償化拡大で変わる、鹿児島の高校選び――私立普通科の人気が上昇中 多様な進路選択が可能、スクールバス充実も要因か
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鹿児島県内の私立高校で普通科の入学者が複数校で増加している。私立高の授業料実質無償化が2026年度から開始され、保護者の所得制限を撤廃、支給上限額が引き上げられたことが追い風となっている。加えて、専門分野を絞らず入学後に進学や就職など多様な進路を選べることやスクールバスの充実などが普通科人気の要因のようだ。政府は25年度、全ての高校生に公立高の授業料に相当する年11万8800円を支給し、私立に通う年収約590万円未満の世帯には加算して39万6000円を支援した。本年度からは私立の加算分の所得制限もなくし、支給上限額を45万7200円に引き上げた。授業料が対象で入学金、制服代、教材費などは含まない。
鹿児島高校(鹿児島市)の新入生は計624人。7日の入学式では正門付近が生徒であふれた。普通科には今年、定員を62人上回る332人が入り、前年度比でも43人増えた。大学進学者が多い英数科は定員を15人上回る135人(前年度比37人増)、情報ビジネス科は定員37人超の157人(同12人減)となった。
指宿市西方から同校に通学する番匠莉子さんは「好きなダンスと勉強が両立できる」と普通科を専願。母の直美さん(46)は「公立に行ってほしい気持ちもあったが娘の希望を優先した。授業料無償化は後押しになった」と語った。
樟南高校(鹿児島市)は普通科3コースの入学者が前年度比で計120人増えたが、商業科と工業科は定員を割った。出水中央高校(出水市)でも、普通科3課程が計54人増えたが、医療福祉科と看護学科は定員に満たなかった。
出水中央高の池袋之弘(ゆきひろ)教頭は「授業料無償化の拡充により公立高校と同じテーブルに並んで選んでもらえるようになった。普通科は高校に入ってから進路を考えられるので人気がある」と話している。
私立に生徒が流れる要因として、路線バスや公立高のスクールバス減少を挙げるのは学習塾「昴」の園田善之事業統括部副部長。「地方ではスクールバスのある私立でないと通えない地域がある。鹿児島市内でも交通の便の良い平地の高校志望者が増えた」と説明。「大学進学を狙えるコースのある私立が選択肢に上がっている」と分析する。
県内の26年度公立高校入試は最終倍率が過去最低の0.74倍だった。鹿児島玉龍(普通科)1.60倍、鹿児島中央(同)1.57倍、鶴丸(同)1.43倍など高倍率の学校がある一方、定員割れは64校133学科に上った。