新作を毎日投稿して15年間…世界が注目するミニチュア写真家・見立て作家の田中達也さん、鹿児島を拠点に創作を続ける理由
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ミニチュア写真家で見立て作家の田中達也さん(44)=鹿児島市=が、活動15周年を記念して写真集「MINIATURE LIFE 365 田中達也の今日の1枚」を出版した。2011年に交流サイト(SNS)で作品発表を始めて以来、毎日欠かさず新作をアップし、現在のインスタグラムのフォロワー数は400万人を超える。写真集制作や創作への思いを聞いた。-写真集は日めくりカレンダーのようにも楽しめる独特の装丁です。
「いつか日めくりカレンダーを作りたいと思っていました。10周年でも計画したのですが、コストの問題などで断念。今回はそのリベンジで『1日1枚』をテーマにしました。開いたまま自立させて飾れ、『コデックス装』という背表紙のない綴(と)じ方なので本を傷めずにパカッと開くこともできます。もちろん、パラパラとめくって本として楽しむこともできます」
-SNSで作品を毎日発表し始めたきっかけは。
「スマートフォンで写真が気軽に撮れるようになったことです。当時はデザイナーとして働いていて風景などを撮りに行く時間がなかったので、趣味で集めていたプラモデルと一緒にミニチュアの撮影を始めました。インスタグラムのサービスが始まったばかりで、文章よりも写真をアップする方が好きだった私に合っていたのだと思います」
-今では小学校や高校の教科書に作品やエピソードが掲載されています。
「うれしいですね。子どもの頃に教科書に載っていた人って、大人になっても覚えているじゃないですか。『懐かしい、あの人だ』と、誰かの記憶に残るのは面白いと感じています。台湾の国語の教科書にも掲載されているんです」
-国内外で展覧会を開催し忙しい日々と思いますが、創作の拠点を鹿児島に置いている理由は。
「創作に集中しやすい環境だからです。東京にいるとイベントや展覧会などの誘惑が多く、他人のために使う時間が増えてしまいそう。鹿児島は程よく都会で、必要な材料もそろうし、空港も近くて移動にも便利。毎日作品を作り続けるためには、このくらいの距離感がちょうどいいと思っています」
-ドバイ万博でも展示され、大きな反響がありました。
「日本館で宇宙技術や環境に関するミニチュア作品を展示しました。実は、その日本館が展示部門で1位(金メダル)を獲得したんです。映像作品が多い中、立体物としてのミニチュアが間に挟まる構成が評価された一因のようです。これからも欧米などさらに世界へ作品を持っていきたい」
-今後、挑戦してみたいことを教えてください。また世界に作品を発信する中で、今強く思うことは何でしょうか。
「モチーフを大きくして、人がミニチュアになったような大規模な空間を作ることです。例えば、ブロッコリーを森に見立てた公園のようなものですね」
「世界各地で紛争が絶えず、不安定な時代が続いています。平和であってこそ、こうしてアートを楽しむ余裕が生まれるのだと痛感しています」
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写真集「MINIATURE LIFE 365 田中達也の今日の1枚」は小学館から4月20日発売。394ページ、4950円(税込み)。