事業承継、国が推進 背景に深刻な後継者不足 奄美は県センターが出張相談で対応
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少子高齢化や人口減少に伴い、中小企業・小規模事業者の後継者不足が全国的に課題となる中、後継者不足に悩む企業を支援する事業承継の取り組みが、注目を集めている。鹿児島県内では国の委託事業として設置されている「鹿児島県事業承継・引き継ぎ支援センター」が主にその役割を担い、奄美の各島でも定期的に出張相談を行っている。同センター・サブマネージャーの秋窪知博さん(63)は「まずは事業承継やセンターの役割を知ってもらうことが第一歩」と話す。同センターは中小企業庁の委託を受けて鹿児島商工会議所が運営する公的な相談窓口。親族内での事業承継をはじめ、役員・従業員への承継、第三者へのM&A(事業譲渡・株式譲渡)など事業者ごとの状況に応じた支援を無料、秘密厳守で行う。
国が事業承継を後押しする背景には、国内での深刻な後継者不足の問題がある。経済産業省の推計によると、2025年に70歳以上となる中小企業経営者は約245万人。その約半数の127万人は後継者が未定という。
現状を放置すると中小企業・小規模企業の廃業が急増し、多数の雇用・経済価値を喪失するだけでなく、奄美の場合、大島紬や黒糖焼酎製造など地域の伝統産業の衰退を加速させる懸念もある。
同センターによると、主な相談内容は「子どもなどに事業を引き継ぎたいが、どういった手続きが必要か(親族内承継)」「後継者おらず、会社をだれかに託すか、事業譲渡を進めたい(第三者承継)」など。
一方で後継者不足に悩む事業者だけでなく、「事業規模を拡大したい。譲渡希望企業を探したい」と考える譲受を希望する相談も。人手不足が深刻な建設業などでは、「資格や技術を持つ人材ごと会社を引き継ぎたい」といったニーズもあるという。
鹿児島県のセンターは統括責任者であるプロジェクトマネージャーと、金融機関OBや税理士、行政書士、弁護士、中小企業診断士ら相談に応じるサブマネージャー、事務職員を含め計14人体制で、相談に対応している。
サブマネージャーの南弘規さん(47)は「例えば後継者がどの段階で事業を引き継ぐか。社内や対外的にはどの段階で公表するか。株式会社であれば、いつまでにどのくらいの株を贈与するかといった事業承継計画の策定サポートなども無料でしている」と説明。多様な相談に専門家が連携して当たれるのもセンターの強みだ。
事業承継は一朝一夕にはいかない。後継者の選定や技術の引き継ぎ、株式の譲渡などには通常、数年単位の時間がかかる。事業者が事業承継を検討したり、相談したりする適切なタイミングはいつだろうか。
秋窪さんは「事業承継は単に社長のイスを譲って終わりではない。早めの準備が大切で、経営者が元気なうちに検討を始めるのが重要。あくまで目安だが、60歳を過ぎたら意識してもらいたい」と語った。