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福岡がモデル「鹿児島に屋台がある風景を当たり前に」…甲突川沿い盛況、1年間で3万9000人訪れた

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 鹿児島市中心部を流れる甲突(こうつき)川沿いに並ぶ屋台が盛況だ。地元の食で地域を盛り上げようと、昨年5月に鹿児島県内の飲食店主らでつくる組合が始め、1年間で延べ約3万9000人が訪れた。関係者は「屋台を新たな観光スポットにしたい」と意気込んでいる。(渡部優斗)

 週末の6月13日午後8時頃、都市公園「甲突川左岸緑地」には6店の屋台が軒を連ねていた。同県鹿屋市の食材を使い、キビナゴの一夜干しや芋焼酎などを提供する「鹿屋ちっく」では、12席のカウンターを囲み、飲食を楽しむ客の姿があった。

 兵庫県から訪れた会社員(35)は、ウナギの白焼き(500円)やソースにこだわった焼きそば(750円)を味わい、「みんなで話しながら飲めて楽しかった」と喜んだ。店主の岩元大樹さん(26)は「お客さん同士の交流も生まれ、いい雰囲気だ」と笑顔を見せた。

 出店のきっかけは、鹿児島市内で焼き肉店などを営む川尻強人(つよと)さん(42)が、福岡の屋台のように街の魅力や食を体験できる場をつくりたいと思ったこと。2024年に飲食店主らでつくる「かごしまリヤカー屋台組合」を設立した。

 組合のメンバーは福岡の屋台でサイズを測り、リヤカーを土台に木材で店を自作する際の参考とした。福岡と違って屋台専用の上下水道が整備されていないため、トレーや紙コップを使って洗い物を出さないようにしたり、観光客向けに県の特産品を使ったメニューを考案したりすることを学んだという。

 アドバイスした鹿児島県姶良市出身で、福岡市・天神で営業する「博多でかごっま屋台 酔っきー」の店主、山之内頼文(よしゆき)さん(50)は「福岡では個性豊かな店が増えている。鹿児島も福岡のような観光資源になってほしい」と期待する。

 屋台が並ぶ公園は、JR鹿児島中央駅から徒歩10分ほどで、繁華街・天文館との間にある。周辺には西郷隆盛生誕の地や大久保利通の像のほか、「維新ふるさと館」など幕末の歴史を伝えるスポットが集まる。春には桜が咲き、花見客でにぎわう。

 同組合が昨年4月、鹿児島市に公園での営業を提案し、実証実験として昨年5月から今年3月まで、毎月約10日間の出店が認められた。周辺住民や観光客にも好評で、屋台で楽しんだ後に天文館の飲食店にはしごする人も見られた。韓国や台湾、欧米などの外国人も来店したという。

 また、店主らが郷土史家から学んだ地域の歴史を客に紹介している。来年の西郷の没後150年、28年の生誕200年に合わせ、メニューの開発やイベントの実施を検討中だ。

 市は、組合の取り組みを「一定のにぎわいにつながった」と評価する。今年度、夜の観光につなげることなどを目的にイベントを開く事業者を公募し、同組合が選ばれた。

 これを受け、組合は4月から、営業日を月約20日に拡大した。客からの要望もあり、営業時間を7~10月は午後4時~10時半と1時間延長。今月10日からは2店舗増えて8店が並ぶ。広報担当の上園優貴さん(41)は「営業の期間や時間が延び、事業計画も立てやすくなった」と新たな屋台の参入に期待を寄せる。

 鹿児島市によると、来年度以降も公募を続けるかは未定という。組合は「常設化」を目指しており、川尻さんは「実績を積み重ね、鹿児島に屋台がある風景が当たり前になるよう取り組んでいきたい」と話す。

 屋台は戦後の闇市として全国に広まり、移動のしやすさなどからリヤカーを使う今の形が主流となった。

 福岡市では、衛生面や名義貸しなどの課題を解決しようと、市が2013年に市屋台基本条例を制定。公募制を導入し、専用の上下水道も整備した。23年度の調査では、年間約119万人が利用し、経済波及効果は104億9100万円に上ると試算する。

 かごしまリヤカー屋台組合によると、北海道のほか、埼玉、宮崎両県の企業、団体から営業に関する問い合わせがあった。埼玉県越谷市では19日から、地元の有志が同市役所前でリヤカー3台で夜間営業を始めた。8月9日までの予定という。