【地震の影響】高速通行止めで鹿児島のぶどう農園が出荷危機 「一番美味しい時に届けたい」農園主の願い
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収穫のピークを迎えたぶどうが、地震の影響による高速道路の通行止めで届けられなくなるかもしれない——。指宿市開聞にある迫田果樹園では、配送業者からの突然の連絡に頭を悩ませた。「一番美味しい時にお客さんの元に届けられるように」と願う農園主の言葉が、地域農業と物流の深いつながりを改めて浮かび上がらせている。農業用ハウスが立ち並ぶ指宿市開聞の迫田果樹園は、40年にわたり季節ごとの果物を生産・販売してきた観光農園だ。今まさにぶどうが収穫のピークを迎えており、7月30日も家族連れがぶどう狩りを楽しむ姿が見られた。
鹿児島市から訪れた母子の姿もその一組。「SNSで調べて来た。来たのは初めて」と話す母親の隣で、子どもは「楽しかった」と笑顔を見せた。好きな果物を尋ねると「シャインマスカット」という元気な声が返ってきた。
こうした観光客を迎える一方で、迫田果樹園では例年、収穫した果物の約4割を県外へ出荷している。旬の味覚を全国の消費者へ届けることが、農園経営の大きな柱となっているのだ。
状況が一変したのは7月29日の朝だった。配送業者から「高速道路の通行止めにより、鹿児島内で数日間止まる可能性があるので、生ものは控えた方がいい」という連絡が入った。
農園主の迫田竜一郎さんは当時の心境をこう語る。「道路が通れないので、様子を見ながらという感じで、もしかしたら送れなくなる可能性もあるということだった」。生鮮品である果物は時間との戦いだ。出荷できなければ、廃棄という最悪の事態も頭をよぎった。
また、県外への発送が多いことから、ふるさと納税の返礼品の発送も一旦ストップせざるを得ない状況となった。
7月30日の朝、ひとつの朗報が届いた。当初30日午前中に茨城へ到着する予定だった商品が、福岡の中継地点に到着したとの連絡が入ったのだ。これにより、商品を配送できる見通しがひとまず立った。
一時ストップしていたふるさと納税返礼品の発送についても、31日から再開する予定だという。最悪の事態は免れたものの、予定通りの配送ができなかった現実は変わらない。
今回の出来事は、高速道路という物流インフラの重要性を改めて示した。迫田さんは物流の早期回復とともに、行政への要望も口にした。
「一番美味しい時にお客さんの元に届けられるようにして出荷しているので、できれば1日も遅らせることなく届いてほしい。飛行機を使ったり、フェリーを使ったりという手配を国や行政がしてくれたらありがたい」
40年間、四季折々の果物を育て続けてきた農園にとって、収穫の喜びを消費者と分かち合えるかどうかは、道路一本の状況に左右される現実がある。旬の味を届けるための物流基盤の整備が、地域農業を支える上でいかに重要かを、今回の出来事は静かに訴えかけている。