鹿児島市サッカースタジアム候補地が「鴨池庭球場」に絞り込み 78億円安く・2年早く完成へ
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鹿児島市が整備を目指すサッカースタジアムをめぐり、大きな動きがあった。市当局は候補地としていた2カ所のうち、県立鴨池庭球場に絞り込み、計画を進める方針を8月24日に明らかにした。費用を約78億円抑えられることや、使用開始を2年ほど早められることが主な理由だ。一方で、当初掲げていた「稼げるサッカースタジアム」の目玉だった複合化は断念する方向となり、市議会では「これまでうたってきた構想が崩れた」と指摘する声もあがった。午前9時前の鹿児島市役所。市議会の議長室に各会派の代表者が集まるなか、下鶴市長が自ら姿を現した。約30分にわたって開かれた会合は非公開だったが、市長はサッカースタジアムへの考えを直接説明した。常任委員会を前にこのような形で会合が行われるのは「極めて珍しい」とされており、今回の決定に対する市側の強い意気込みがうかがえる。
その後に開かれた市議会常任委員会の冒頭、市の観光交流局・児玉博史次長が候補地の選定結果を報告した。
「県立鴨池庭球場の敷地などを候補地として検討を進め、鹿児島サンロイヤルホテルの敷地などは検討対象から除外する」
こうして、2つの候補地のうち鴨池庭球場への一本化が正式に示された。
候補地を鴨池庭球場に絞り込んだ理由は大きく2つある。費用面と時間軸だ。
まず費用面では、鹿児島サンロイヤルホテル跡地への整備費が約293億円であるのに対し、鴨池庭球場はもともと市の土地であるため土地取得費がかからず、整備費は約215億円と約78億円の削減が見込まれる。
時間軸についても、サンロイヤルホテル跡地への整備では使用開始が2038年を想定しているのに対し、鴨池庭球場なら2036年と、約2年早く使い始められる計算だ。費用・時間のいずれの面でも鴨池庭球場に優位性があると市は判断した。
整備後のイメージ図では、白波スタジアムや鴨池補助競技場に併設した形でサッカースタジアムが配置される。また、現在の庭球場にあるテニスコートは川商ホールの近くへ移設される計画だ。
鴨池庭球場への絞り込みと同時に示されたのが、スタジアムの複合化を断念するという方針だ。複合化とは、商業施設などを併設して試合のない日でも集客を目指すというもので、市がこれまで「稼げるサッカースタジアム」として掲げてきた構想の核心だった。
市の観光交流局・平良和也スタジアム担当課長は断念の理由を次のように説明した。
「活用可能な敷地の確保が難しいことや、可能な限り整備費の縮減に努める観点から、検討は行わないことにする」
これに対し、市議会の池山美月議員は鋭く問い質した。
「そうなると、これまでうたってきた『まちなかスタジアム』『多機能複合型スタジアム』は前提が崩れたということか」
平良課長は「『多機能複合型』という言葉については、今回『複合』を見直すにあたり再度、検討しなければならない」と述べるにとどまった。
計画が前進した一方で、解決すべき課題も残っている。
まずイメージ図を見ると、サッカースタジアムは限られたスペースに収められており、敷地の狭さが見てとれる。この狭さが複合化断念の一因にもなっており、試合のない日の集客をどう確保するかという問いへの答えはまだ示されていない。
また、テニスコートを川商ホール側に移設することで、ホールの駐車場が60台削減される見込みだ。周辺の交通や駐車環境への影響については、引き続き検討が必要とされている。
県テニス協会の加覧伸一理事長は移設について「海岸により近づくので、より風も吹く」と懸念を示しながらも、「継続的な意見交換やらせてもらえたら。より高いパフォーマンスを発揮できるような施設につながるよう精一杯協力していきたい」と前向きな姿勢を示した。
地域の関係者はこの動きをどう受け止めているか。
県サッカー協会の川畑佑樹会長は、より早期整備が可能な庭球場の選択を歓迎し、「色々な関係機関と協議しながら議論深められたら」とコメントした。
鹿児島ユナイテッドFCの徳重剛代表は「現在のスタジアムは様々な面で限界を迎えつつある」と現状への切迫感を示したうえで、「今回示された方向性を踏まえ、今後も関係者と議論を重ねながら、鹿児島のサッカーの未来につながるスタジアムの実現に向けて、クラブとしても真摯に取り組んでいく」と語った。
塩田知事は「鹿児島市で考え方を整理した上で、県にも説明があると考えている。市の説明や県議会での議論を踏まえ、今後の対応を検討していきたい」と、慎重に市の動向を見守る姿勢を示している。
下鶴市長は今回の絞り込みを「整備に向けた大きな節目」と位置づけ、「市の考えを県に伝えたい」としている。2036年の使用開始という目標に向け、鹿児島のサッカースタジアム計画はいよいよ具体的な段階へと踏み出した。