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鹿児島県 ニュースFollow 奄美大島北部と南部で知事対話 進行で違い 南部では来場者も発言 県政に声届ける機会に
自然・火山 奄美新聞 👁 5

鹿児島県 ニュースFollow 奄美大島北部と南部で知事対話 進行で違い 南部では来場者も発言 県政に声届ける機会に

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 厳かに先祖を迎える旧盆時期に襲来し徳之島を中心に被害をもたらした台風18号の対応に追われたからだろうか。県政トップの来島からかなりの日にちが経過した印象がある。まだ1週間余り。塩田康一知事が地域に出向いて県民の声を直接聞く「知事とのふれあい対話」が22、23の両日、奄美大島であった。初日が北部、二日目が南部。参加者(自治体推薦と公募で選ばれた9人ずつ)の質問や提案に知事が回答する形で進められたが、北部と南部の進行で違いが見られた。

 今回の知事対話のテーマは「奄美大島における人口減少対策(関係交流人口の拡大、定住促進)」。移住や空き家対策に関する発言が目立ったが、知事は2025年度の県外からの移住者約3千人(前年度比113人増の3063人)のうち半数近くが奄美群島で、4分の1は奄美大島と説明。離島人気が増加の要因として、県の取り組みでは移住・交流サイト「かごしま移住ネット」での情報発信や首都圏などで開催しているセミナーなどを挙げた。

 北部での参加者からの提案や事例報告で知事が関心を示したのが二つある。一つは黒糖焼酎製造の経営者による「人材のシェア(分かち合う)」。離島は本土以上に人材が限られ、しかも大学などが存在しないため20歳代前半の若い世代が非常に少ない。そこで一部の有力企業などが人材を抱え込むのではなく、「地域活動や副業を認めて人材のシェア実現を。それには経営者の理解が求められ、県が啓発(旗振り)していく役割を果たしてほしい」。もう一つは龍郷町が進めている教育民泊だ。町で担当している地域おこし協力隊の説明だけでなく、家庭での受け入れの実情も報告された。

 知事は「人材のシェア」アイデアの有効性を認識したのだろう。地域内での互助・事業所の共存にも役立つことから、南部であった対話で言及し人口減少対策につながる方法の一つとして紹介した。

 南部での知事対話では防災も取り上げられた。安心して地域で暮らし続けることができるよう防災対策の強化も移住、あるいはその後の定住を可能とするだけにテーマに沿う。8月の台風では停電が長引き、断水も続いた。気温が高い夏場。住民は厳しい生活を強いられた。また、道路事情により南部は集落の孤立の懸念が付きまとう。標高の高い山地が多いため、急峻(きゅうしゅん)な地形を縫うようにして道路が整備されていることもあり、県道のような幹線でも大雨によって土砂崩れが頻繁に発生する。参加者からは道路が寸断されやすい地域に誕生した交流施設に防災機能設置、新たなトンネル整備の要望が寄せられた。

 北部と南部で進行に違いが出たのは、この防災に関する要望で。南部では来場者にも発言を求めたところ、挙手した発言者は参加者の要望を後押しする形で整備の必要性をアイデア含めて知事に届けた。

 1時間半という開催時間の事情もあるのだろう。対話の進め方は、▽参加者からの質問・提案▽一人一人とのやり取りの形で知事が回答▽知事の回答に参加者から意見や感想、それに対して状況によっては知事が再び回答――という流れ。これに来場者からの発言が加わった。北部ではなかったが、南部では実現した。

 知事が直接だけでなく、住民が直接知事と向き合う機会はなかなかない。それだけに事前に参加者が決まっている住民との「対話」だけでなく、会場に訪れた来場者が知事に「声を届ける」機会も進行の一つとして組み込めないか。

 元官僚の知事は現在2期目。政策通で、県議会での質問に対する答弁は安定しており、定例記者会見でも県政全般にわたって把握していることが伝わる。それだけに知事対話で参加者とのやり取りだけでなく、事前に回答を準備しなくても来場者とのやり取りは十分に可能ではないか。地域に対する眼差し、暮らす住民との近さを感じることができたら、県政がより身近になり、知事の政策への期待や人柄への支持が広がると思う。
(徳島一蔵)