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焼酎だけじゃない!鹿児島の誇り「コガネセンガン」が口どけスイーツ「ほろ雪」に 60周年記念で本格販売
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焼酎だけじゃない!鹿児島の誇り「コガネセンガン」が口どけスイーツ「ほろ雪」に 60周年記念で本格販売

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焼酎やでんぷんの原料として鹿児島を支え続けてきたサツマイモ「コガネセンガン」が、2026年で誕生から60年を迎える。毎年のように新品種が登場する中、今なお県内栽培量の約4割を占める「王者」の節目を祝うように、鹿児島県鹿屋市のパティシエが渾身のスイーツを本格販売する。その名は「ほろ雪」。雪のように白く、口に入れた瞬間に溶けていくという一品だ。

鹿屋市で「芋モンブラン農園工房」を営む郷原拓東さんは、25年以上にわたってコガネセンガンを主役に菓子を作り続けてきたパティシエだ。7年前からは自ら畑を耕し、土作りから手がけるほどのこだわりを持つ。

コガネセンガンという名前の由来を、郷原さんはこう語る。「花咲じいちゃんの犬が『ここ掘れワンワン』と言ったとき大判小判がザクザク出てくるように。そういうことを願って付けられた名前らしい」。黄金色に輝く芋と、その恵みへの期待が込められた名前だ。

郷原さんが目指す土は、少し意外なものに例えられる。「チョコレートケーキみたいな土を目指している」。豊かな土壌からでなければ、コガネセンガン本来の風味は引き出せないという信念がそこにある。

コガネセンガンが誕生したのは今から60年前、鹿児島市紫原にあった国の試験場でのことだった。この品種を生み出したのは、故・坂井健吉さんだ。坂井さんは3年前にこの世を去ったが、晩年には一大産地である鹿屋市を何度も訪れ、自らが育てた品種の成長を目の当たりにしていた。

当時89歳だった坂井さんはこう語っていた。「50年たってコガネセンガンが健在というのは本当に珍しい。ブリーダーの冥利に尽きますね」。その言葉通り、コガネセンガンは新品種が次々と登場する競争の中でも生き残り続けた。鹿児島県によると、2025年度に県内で栽培されたサツマイモのうち約4割がコガネセンガンだったという。焼酎やでんぷん製造の現場でも不可欠な存在として、60年にわたり鹿児島の食と産業を支えてきた。

「ほろ雪」の最大の特徴は、素材の鮮度へのこだわりだ。郷原さんの工房のすぐ隣にはイモ畑がある。「個人的には収穫したてが一番、イモの土からの味をそのまま反映してくる。どれだけ早くこれをお菓子に変えられるかが一番大事だと思う」と郷原さんは言う。

製造工程はこうだ。まず生のコガネセンガンを牛乳などと合わせ、弱火でじっくり火を通してペースト状にし、「芋きんとん」に仕上げる。そして丸くかたどった「芋きんとん」に隠し味として吹きかけるのがしょうゆだ。「香ばしさをだすため」だそうだが、しょうゆの塩分がイモの甘さをさらに引き立てている。

一方、蒸したコガネセンガンは別途用意し、つぶした後に「さらし」と呼ばれる工程に移る。「こんな感じでさらしていく。横に。なるべく空気に触れるように」。空気に触れることで乾燥が進み、よりホロホロとした独特の食感が生まれる。

こうして仕上げた芋きんとんに生クリームを乗せ、しっとりホロホロのモンブランクリームを絞ると、「ほろ雪」の完成だ。雪のように白い見た目と、口の中でふわりと溶ける食感がその名の由来となっている。

2026年に入って最初に完成した「ほろ雪」を、郷原さんは工房の敷地内に建立されているコガネセンガンの生みの親・坂井健吉さんの記念碑に供えた。品種誕生から60年という節目に、開発者への敬意を込めた静かな儀式だった。

郷原さんはコガネセンガンへの思いをこう語る。「コガネセンガンは鹿児島をイモの王国に変えたイモだと思っている。最もイモらしい味と香りを持つといわれているものなので、すごく大事にしていきたい」。

25年以上の菓子作りの経験と、7年にわたる土作りへのこだわり、そして60年の歴史を持つ品種への敬愛。それらが重なり合って生まれた「ほろ雪」は、鹿屋市浜田町の芋モンブラン農園工房およびオンラインショップなどで販売予定だ。

鹿児島の大地が育んだコガネセンガンの60年という歴史を、口の中でじっくりと味わえる一品といえるだろう。