「当たり前」を「有難い」に 地域再生へ潜在需要開拓を 藻谷浩介氏が講演 奄美市
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「里山資本主義」の著者で日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏(62)の講演会が15日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。藻谷氏は島民が口にしがちな「島は何もない」「当たり前」という言葉は「謙遜でなく傲慢(ごうまん)」と断じ、めったにない貴重さを意味する「有難い(ありがたい)」という言葉に置き換えていくよう提案。世界自然遺産に登録された豊かな自然や、独自の伝統文化は決して「当たり前」ではないと訴え、聞きかじりの都市志向から脱却して、足元の希少な資源に感謝し、生かす視点への転換を呼び掛けた。藻谷氏は、日本の大都市圏を極端な過密状態とし、高額な家賃負担で子どもを持てず出生率も下がるといった問題点を指摘。
一方、奄美を含め「人の少ない田舎」とされる日本の地方は、世界基準でみれば人口密度が高く、商売も公共サービスも成り立ちやすいことを、可住地人口密度(森林など除いた1平方キロメートル当たりの人口)のデータを示しながら主張。今後日本の人口が仮に半減しても世界基準では過密か、適密であり、過度な悲観論や都市集中論でなく、「人が減っても成り立つ行財政システムの再構築こそが必要」と訴えた。
地域経済の維持・再生に向けては「バケツの穴からもれる需要」「訪日外国人客の潜在需要」など五つの潜在需要開拓を提示。
「バケツの穴」とは、地方が一次産品で稼ぐ黒字が、産業用資材や加工食品などの購入で、都会に戻ってしまう状況を指す。藻谷氏は、この穴をふさぐため、農業であれば肥料や飼料を地元での循環でまかない、観光であれば旅行客の飲食物は、地元産に徹底することなどを提案した。
また、都会にあるモノ(マス市場の需要)を求めるのではなく、地元の農産物や店舗でお金を使い、地域内で循環させることや、足元にある固有の価値を大切にする認識を若い世代へ伝える大切さも説いた。
藻谷氏の奄美大島講演は、2016年に南海日日新聞社が創刊70年を記念し、主催して以来10年ぶり。今回は世界自然遺産登録5周年記念事業として奄美市中心市街地活性化協議会が主催。市が共催し、約200人が聴講した。藻谷氏は16日、名瀬の県立大島高校でも講演した。