【奄美で進むDX】利用者にもメリット 介護、医療分野で大きな成果
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労働環境の改善や人手不足解消が長年の課題となっている医療、介護分野ではDX化に大きな期待が寄せられている。IT機器の導入で職員負担の軽減に取り組んできた特別養護老人ホーム「奄美佳南園」(福﨑充園長)=鹿児島県奄美市名瀬=は昨年8月に「介護職員の働きやすい職場環境づくり 内閣総理大臣表彰及び厚生労働大臣表彰」で優良賞を受賞した。同園職員は「今ではDXなしでの仕事は考えられない」と効果を強調する。現在、同園では業務支援、記録管理、情報伝達などで計12のシステムを採用している。中でも効果が大きかったのは施設利用者の見守りシステム。個室に設置したカメラとベッドに備え付けたセンサーで利用者の状態や心拍数、呼吸数などの情報を常時、確認できるようになった。
同園では夜間は職員1人が利用者約30人を見守っている。従来は1回30分ほどかかる巡回を一晩で4~5回する必要があったが、現在はモニターで利用者の状態を確認できるようになったという。
同園生活相談員の山元巨樹さんは、「ケアの最中に、別のナースコールがあると、緊急を要する状況なのか、そうでないかは、作業を中断してその部屋に行かなければ判断できなかった。今では手持ちの端末で確認できるので安心して優先すべき仕事に集中できる。利用者の安眠を妨げることが少なくなったのも大きい」と実感を込めた。
医療現場のデジタル化で手続きの簡略化も期待されている。奄美市名瀬柳町で7日に開院する「つちもち整形外科クリニック」は、予約から会計までをスマートフォンで完結できるアプリ「デジカルスマート診察券」を導入した。同アプリでは電話番号や保険証データを登録して医療機関を選ぶと24時間いつでも予約が可能。クレジットカード情報を登録すれば会計を待たずに帰宅できる。
土持亨院長は「高齢者などアプリ利用が難しい人も多く、従来通りの手段との並行対応も必要だが、診療を素早く終え、買い物など次に移れる利便性を提供できたら」と話した。
現段階では、DX化の目的は人材不足、労働環境の改善、業務の合理化など課題解決のための側面が目立つ。だが、ゆくゆくはサービスを利用する私たちにもさまざまな恩恵が期待できそうだ。