飼育によりクロウサギ生態研究 「緊張しながら睡眠」「頻繁な食フン習性」 教友会総会で豊田獣医師講演 鹿児島県
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奄美大島に居住する学校の退職教員で組織する奄美地区教友会(用(もちい)隆也会長、会員98人)の2026年度総会が16日、鹿児島県奄美市名瀬の浦上公民館であった。この中で「話を聞く会」として大和村にあるアマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(くるぐる)の豊田英人獣医師が講演。飼育を通しての生態研究でこれまでに判明した特性が報告された。同施設は、同村思勝のまほろば水と森公園内に昨年4月開所。国の特別天然記念物で希少種のアマミノクロウサギを主に体験型施設として、①保護個体の治療とリハビリ②生態研究③現状を知ってもらう普及啓発(環境教育)―機能を備える。
交通事故により右の後ろ足が不自由なままの「ユワン」、ネコに襲われ左の首の根っこをかまれた「ケンタ」の2頭のクロウサギを飼育。これまでの飼育観察で日中、巣穴の中で何をしているか観察記録したところ、「目を開けて周りを気にしながらじっとしており、緊張しながらの睡眠」(豊田獣医師)。巣穴の中では一日25回ぐらい頻繁に食フン(自分のフンをお尻の穴から接種して食べる。盲腸で発酵させており栄養吸収)の習性があり、「盲腸フンは水分量が多くペースト状で直接食べる。これに対し屋外でも見られる排出フンはコロコロと丸く乾燥しており食べない」(豊田獣医師)。
2025年は奄美大島で過去最多となるなど交通事故による輪禍死(ロードキル)が大きな課題となっている中、野外での観察(夜間)により▽道路脇から突然飛び出し、車のライトがあたらない。黒褐色のため夜間は見えない▽ハブの危険を避けるため道路際など周囲が見渡せる開けた所でフン(5~10分と比較的長い)をする――といった特性が「輪禍死対策の難しさにある」と指摘。また、草食性で葉や果実ではなく幼木や成木の枝をかじりタンカンに食害を与えており、生産農家にとって深刻な問題。防護柵などの対策が進められているが、豊田獣医師は被害対策として「どのぐらいの高さの障壁物を飛び越えるかといった運動能力の試験をしている。周囲の人々の生活を守ることも(施設の)目的」と説明。意外な跳躍力があり、1㍍ぐらいの高さは飛び越えるというデータが過去のものであるとした。
退職教員の団体ということで、「クロウサギ農園をつくろう」など学校教育での活用事例、獣医師や飼育など子どもたちの職場体験も受け入れていることを報告した。
生態研究の発表に高い関心を示していた参加者からは子ウサギの巣穴での生活、クロウサギの寿命など多くの質問があり、豊田獣医師は丁寧に答え説明した。
総会では25年度事業・会務報告、同決算・監査報告、規約改正、26年度事業計画・予算などの議案を承認した。事業計画は会員相互の親睦、研修、奉仕作業、趣味・健康づくりを掲げている。
役員(2年に1回改選)は次の通り。(敬称略)
会長=用隆也▽副会長=前田和洋、髙司聖保美▽監事=中村利之、村田富秀▽事務局長=大江修▽会計=森真里子