「老朽化が進んでいる。明日はわが身だ」…鹿児島の離島航路でフェリーの機関故障相次ぐ――新造費は巨額、苦悩する事業者
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鹿児島県内の離島航路の定期フェリーで機関故障が相次いでいる。4月28日の「屋久島2」(折田汽船、鹿児島市)に続き、5月16日に「あまみ」(奄美海運、同市)でも航行中に発電機と全てのエンジンが止まった。詳しい原因は調査中だが、離島航路の半数近い船は、更新時期を迎えている。事業者は「人ごとではない」と危機感を募らせる。県旅客船協会によると、離島航路の定期船24隻のうち、「屋久島2」「あまみ」などフェリー6隻は、更新検討の目安とされる減価償却期間(11~15年)を過ぎている。市丸・岩崎両グループが種子・屋久航路で運用するジェットフォイル6隻は製造から31~47年経過し、さらに深刻だ。
どの航路も生活路線と言えるが、新たな船を造るには数十億円かかるとされ、各社を悩ませる。国が新船建造費などを補助する制度はあるが、航路を1事業者で担い、赤字の事業者が対象だ。「どの船も老朽化が進んでいる。明日はわが身だ」。船会社幹部は口々に漏らす。
建造20年の「あまみ」は新船建造の検討時期には入っていた。奄美群島で定期運航する3社の中で、唯一喜界島に寄港する。
航路は「フェリーきかい」との2隻体制。国の補助に該当するとはいえ、1年前には船員不足で週5便から4便に減便した。21日には「きかい」で週3便の代替運航を続けると決めたものの、船舶の修理は一般的に整備ドックの確保や部品の調達で復旧まで時間を要する場合がある。
建造33年の「屋久島2」は4月下旬の故障から再開に10日かかった。2024年10月にもエンジン機器が故障し、半年運休した経緯もある。船の更新は喫緊の課題だが、屋久島航路のフェリーは現時点で2事業者が就航し、国の補助も見込めない。
このため、運航する折田汽船と岩崎産業(鹿児島市)などが昨年12月、国や県、町に対して新造費を行政が負担し、運航を民間が担う「公設民営」を要望した。
県も国に対し各種補助の拡充などを求めているものの、明確な方向性は示されておらず、先行きは見通せない。
九州産業大学の行平真也准教授(海上交通論)は「福岡県では予備の船として、5自治体が共同で建造する動きもある。老朽化が進み、故障リスクが高まる中、緊急時の議論は官民で深める必要がある」と話す。