ザトウクジラ来遊1939頭 頭数、ツアー参加者数とも過去最多 26年季・奄美大島
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奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は9日までに、冬から春にかけて奄美大島近海に来遊するザトウクジラの2026年シーズンの調査結果(26年3月末現在)をまとめた。発見頭数は昨シーズンに比べ138頭(7・7%)増の1187群1939頭で過去最多。ツアー参加者も2161人(27・7%)増の9950人で過去最多だった昨シーズンを上回った。同協会は今季からの観察ルール強化に伴い、ホエールスイム(水中観察)による母子群への影響評価調査を実施。観察前後での自然行動の変化などは見られず、クジラへの影響は軽微であることが示された。調査は、同協会に加盟するダイビング業者ら16事業者が海上からの観察を中心に出現情報を計上。今季は、25年12月16日に奄美市笠利町佐仁沖で初確認された。発見したザトウクジラのうち179群(15・1%)が母子群。ツアー参加者のうち60・7%は船上からクジラを観察する参加者で、昨シーズンより1735人(40・3%)増加した。
母子群に対する影響評価調査では、観察時の母子の潜水地点と浮上地点の距離の差から逃避行動を行っていないと判断。対象とした母子群は観察時でも影響が軽微だった。このほか、ドローンによる撮影画像から子クジラの順調な成長も確認された。
同協会は今季からスイムでの観察を母子群は2回まで、その他は4回までとした。生後間もない子クジラについては海中での接近を原則禁止としルールを厳格化した。群ごとに警戒心の度合には差があることから、来季は群の行動を見極め、逃避行動などを確認した場合にはストレス軽減などのために接近しないとした。見極めの精度は、事業者同士が来遊季の前後やリアルタイムで情報交換を行うことで向上を図る。
興会長は「(観察の)ルールを厳格化したことで、クジラに配慮した自然に近い状態を見ることができ、観光の質の向上にもつながっている」とみており、今後もクジラに配慮した安全で質の高いツアーの実現に向け取り組むとしている。
ザトウクジラは成体が体長約12~14㍍、体重30㌧超にもなる大型の水生哺乳類。夏季はアリューシャン列島やベーリング海など海水温が8~10度の海域で餌を食べ、冬季の繁殖や子育に備えて脂肪を蓄える。冬季は海水温が21~28度の海域へ移り、国内では奄美や沖縄、小笠原などに来遊。奄美でも子クジラが誕生しており、毎年里帰りする個体も確認されている。