地域経済の実態を可視化 奄美大島5商工団体 景況感等調査開始から1年
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鹿児島県奄美大島の5商工団体(あまみ、龍郷、瀬戸内、宇検の各商工会と奄美大島商工会議所)が連携して開始した「景況感等調査」は実施から1年が経過した。島内全域の事業者を対象とした継続的な調査は、これまで感覚で語られがちだった地域経済の実態を数字で可視化する試み。1年間の調査を通じ、離島特有のコスト負担や深刻な人手不足といった奄美経済の課題を改めて浮き彫りにしている。この調査は、島内の中小企業・小規模事業者を対象に、四半期ごとの経営実態を継続的に把握し、「見える化」することが目的。インターネットを通じたアンケート形式で、景況感だけでなく、雇用状況や設備投資、物価高騰に伴う価格転嫁の状況など、多角的な項目を数値化している。
これまで、事業者や経営指導員らの感覚に頼ることも多かった地域経済の動向を客観的なデータとして蓄積し、行政への政策提言や地域の実情に即した支援策の策定に役立てるのが狙い。
島内の経済状況を点ではなく、面で捉えるため、5商工団体が協力し島内全事業者を対象に実施。初年度は1年間(全4回)で累計736件の回答を得た。
アンケート結果の分析を行った奄美大島商工会議所の経営指導員、濱川浩也さん(38)によると、調査結果が突き付けた島内経済の最も深刻な課題は人手不足。年間を通して約半数の企業が人手不足を感じており、改善の兆しも全く見られていない。
加えて、物流コストの高騰にも多くの事業者が頭を悩ませている。濱川さんは「全国共通の物価高騰に加え、離島の奄美大島では中東情勢の悪化による物流コスト上昇が、物価高騰をさらに加速させている」と指摘する。
その一方で、「島内消費の弱さ」が壁となり、3割を超える企業で価格転嫁が進んでいない実情も調査から明らかになったという。
業種別では、観光関連業は回復傾向にあるが、夏場の特需と冬場の閑散期の差が激しいジェットコースター型の推移が特徴。建設業では資材高騰と人手不足の常態化が懸念される。
実施団体では、今後も10年、20年と、できる限り長く調査を継続していきたい考え。地域経済の状況を「定点観測」し、社会情勢に応じた臨時調査と組み合わせながらデータを蓄積し、住みやすく、働きやすい島づくりにつなげたいという。
そのためには一人でも多くの事業者の声を吸い上げ、データの精度を高めることが重要で、調査に対する事業者の理解と協力が不可欠。濱川さんは「調査は景気を調べるだけでなく、事業者の声を見える化し、行政、金融機関、関係団体と共有して地域の課題解決につなげるための大変重要な基礎資料。極力、事業者の負担にならないよう約1分で回答できる設計なので、今後もぜひ協力をお願いしたい」と強調した。