鹿児島県 麻布大研究チームが調査 ロードキルゼロへ 「動物行動学」で共存図る 大和村
📰 全文
「動物行動学」に基づくアマミノクロウサギの習性についての調査・研究が6月から大和村各地で行われている。調査を行っているのは、麻布大学=本部・神奈川県=生命・環境科学部の江口祐輔教授(57)の研究チーム。学生5人を随行し、タンカン樹皮の食害防止やロードキル(交通事故死)対策など、学生それぞれがテーマに沿った調査・研究を進めている。調査は、昨年12月に村と同大が結んだ包括連携協定に基づく。村内にある保護研究施設「アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(くるぐる)」を拠点に、野生動物との共存・共生を図る方法を動物行動学で科学的に読み解くことが目的。
チームは、6月4日に来島し今月25日まで滞在予定。その間、村内に設置した26台の自動撮影カメラ(果樹園16台、自然公園2台、村道マテリア線8台)の映像分析や現地調査を重ね、行動のメカニズム(至近要因)や自然環境への適応的意義を調べる「究極要因」などを分析する。
10日は、村道マテリア線の事故多発エリアに張られたポリエチレン製の侵入防止ネット(高さ約1㍍、延長約400㍍)の破損箇所を調べた。
ネットの下部には穴の開いた部分があり、比較的大きな穴からクロウサギが道路に出ることによって事故に遭っていると推測している。
くるぐるの豊田英人獣医師(42)によると、「ネズミ類が噛んで開けた穴をウサギが大きくした。あるいは、ウサギが直接開けたかは分からない」とのこと。
学生たちは、ネットの下に積もった落ち葉をはね、約1時間半がかりで穴を探し、ピンクのテープで印をつけていった。全部で267か所の穴を確認した。
その後、くるぐるに戻った学生は、これまでに回収した映像データをチェック。排泄の時間▽要した時間▽糞の数など細かくデータ入力した。
ロードキル対策をテーマに研究している4年の森下宗代さん(22)の6月の記録では、ウサギはまず10粒以下の糞を数秒行い、その後別の場所で3~5分かけて30~50粒程度を排泄する傾向がみられるという。
森下さんは「ウサギの行動傾向を解析できれば、解決策につながる可能性が高まる。なぜ道路に出てくるのか分析を進めたい」と話した。
江口教授は「本土では〝獣害〟と呼び、殺すことを解決策とするが、これは間違い。同じ種でも、山に生きる個体と里に進出した個体がいる。動物の行動を科学的に正しく知ることで被害はゼロになる」と語った。
チームは今後、さらに調査と分析を進め、12月に予定される成果報告会で発表する。