カゴミル 鹿児島の今のニュースを、まとめて。

← 一覧
鹿児島県 伊仙町で「サンゴ礁サイエンスキャンプ」 サンゴの恵みが育む「長寿と生命の島」 小中学生や大人が3日間の研究成果発表
総合 奄美新聞 👁 1

鹿児島県 伊仙町で「サンゴ礁サイエンスキャンプ」 サンゴの恵みが育む「長寿と生命の島」 小中学生や大人が3日間の研究成果発表

📰 全文
 【徳之島】喜界島サンゴ礁科学研究所(渡邊剛理事長)恒例の「サンゴ礁サイエンスキャンプ」初の「徳之島親子コース」が11~13日、伊仙町教養講座「いせん寺子屋」と共催であった。島内外から計10組・20人が参加。渡邊理事長ら研究者をメンターに隆起サンゴ礁で形成された同町の特有な地質や水環境、信仰「ティラ」と自然との関わりなどフィールドワークで調査。最終日13日午後は、小中学生や大人の計3班が、科学的・文化人類学的な視点から研究成果を堂々と発表。会場審査の結果、「長寿の秘訣は水!?」班が最優秀賞に輝いた。

 喜界島サンゴ礁科学研(喜界町)のサイエンスキャンプは、小中高生から一般までを対象に、世界有数の隆起サンゴ礁島である同島を舞台に毎年開いている体験型・実践型の科学教育プログラム。隆起サンゴ礁で共通した徳之島南部の伊仙町を中心に「水と人の暮らし」を主題に、初の「徳之島親子コース」として実施した。

 同町ほーらい館を拠点に、初日はサンゴ礁特別講座とスノーケリング実習、12日は▽「伊仙町の縁の下の力持ちサンゴ」(子ども班)▽「長寿の秘訣は水!?(同)▽「ティラ(信仰の場・聖地)はどこに生まれるのか~ティラが生まれる共通点~」(大人班)をテーマにそれぞれ現地調査。この間はバーベキューや対話、ビーチクリーン活動でも交流。最終日は成果発表会を開いた。

  「伊仙町の縁の下の力持ちサンゴ班」は、約40万年前からの隆起によってできた町の地形断面や地質を分析。標高約160㍍に位置する「ヨヲキ洞窟」では、石灰岩と花こう岩が重なる不整合な地層を観察。約2000年間にわたり昔の人々が住処として活用していた歴史に触れ、「サンゴが作った石灰岩層が豊富なカルシウムを含んだ水や肥沃(ひよく)な土壌を生み出し、島の人々の暮らしや作物の生育を支えている」と考察。

 水質調査から迫った長寿の秘密「長寿の秘訣は水!?」班は、町内各地の湧水や海水、生活用水のPH(水素イオン濃度)や全硬度、カルシウム濃度を計測。標高や地質によって水の成分が変化することも確認。役場の水道水は浄化処理によってカルシウム量が抑えられていることも比較しながら、天然の湧水に含まれる豊富なミネラル成分の存在を浮き彫りにした。「サンゴに由来する水質の特性が、長寿の町と呼ばれる伊仙町の健康や生活の基盤になっている」と考察。

 信仰の場「ティラ」と水源の深い関係を探った大人班は、町内5カ所のティラや神社を巡り、標高や地形、地域に伝わる伝承を分析。多くのティラが標高の高い場所や鍾乳洞の近くに位置し、その下部に重要な水源(地下水や川)が存在するという共通点を発見。「大切な水源を守り、荒らされないようにするために、感謝や畏怖(いふ)の念からティラや伝承が生まれたのではないか」と仮説を発表。会場の関心を集めた。

 講評で渡辺理事長は「研究や科学において年齢や性別は関係ない。モヤモヤした疑問や現場で肌で感じた感覚こそが新しい発見の原動力。専門的な知識だけにとらわれず、島に育まれた文化や歴史と科学を融合させる姿勢をこれからも大切にしてほしい」

 また、松岡由紀伊仙町誌編纂室長(学芸員)は「島外からの視点と島内で暮らし継いできた暗黙の知恵が交わることで、深い学び合いが生まれた。AI(人工知能)時代だからこそ、人間が肌で感じ、受け継いできた自然への祈りや暮らしの固有性がより一層意味を持つはずだ」と述べた。

 発表後は全員が感想を述べ、島内参加者からは「水と長寿の関係など出身者でありながら知らないことが多かった」、「サンゴ礁などこの美しい自然を守り引き継いでいきたい」と感謝の声もあった。