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鹿児島県 クロウサギ1千万円台続く 25年度農作物鳥獣被害額 果樹園の中で繁殖も 「手の打ちようがない」 奄美、全体では65%減少
自然・火山 奄美新聞

鹿児島県 クロウサギ1千万円台続く 25年度農作物鳥獣被害額 果樹園の中で繁殖も 「手の打ちようがない」 奄美、全体では65%減少

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 県は、県内で2025年度に発生した野生鳥獣による農作物被害額(速報値)をまとめ公表した。県全体では前年度比47%減の2億8449万3千円となり、地域別で前年度最多(1億2293万2千円)だった奄美は65%減の4260万円と大幅に減少した。一方、奄美大島や徳之島でタンカン、サトウキビに食害を与えている国の特別天然記念物アマミノクロウサギによる被害額は1千万円台が続いている。

 農村振興課によると、県全体の被害額で獣類計は2億5069万5千円となり前年度比13%減少。最多はイノシシの1億7801万2千円で、全体の6割強を占めた。鳥類計は3379万8千円となり、2億5263万7千円だった前年度から87%も減少。ヒヨドリ被害が2億816万2千円も減少したのが、被害額を大幅に引き下げた。

 作目別の被害額は、獣類被害は水稲1億626万7千円(構成比42%)が最も多く、果樹5157万4千円(同21%)、イモ類4347万8千円(同17%)の順に続き、この3区分で獣類被害全体の80%を占める。鳥類被害は果樹1845万4千円(同55%)、野菜905万2千円(同27%)、水稲467万9千円(同14%)が多く、鳥類被害全体の95%とほとんどとなっている。

 地域別の被害額は、北薩(8033万1千円)、大隅(5987万7千円)、奄美の順に多く、この3地域で全体の64%を占める。奄美の状況をみると、獣類(計3683万2千円)ではイノシシが最多の2340万2千円。イノシシ以外では、その他の1343万円があり、このうちクロウサギ被害が1045万3千円で、77・83%と8割近くに及ぶ。前年度(1035万6千円)と比較すると約10万円の増とほぼ同額。

 クロウサギの農作物被害対策で、県大島支庁は17年度に環境省、鹿児島大学、市町村、県の関係課・室で構成する対策会議を設立。22年度に農作物被害対策マニュアル、25年度には改訂版を作成。この中では被害対策として専用侵入防止柵(金網柵、ワイヤーメッシュ柵など)、電気柵、幼木保護(突起シート、管を使いビニールで幼木を囲むなど)を紹介している。

 高品質のタンカンが生産される大和村福元地区で取り組む(栽培面積約8㌶)果樹農家・大海昌平さん(70)は「確かに柵は効果があるが、柵を設置しても果樹園の中で繁殖しているクロウサギについては、園外に出すことができず手の打ちようがない状況」と語る。植栽したばかりの幼木などを行灯(あんどん)状にしてビニールで囲んでも、それをクロウサギが体重をかけて下ろし、枝や幹をかじる個体も出ているという。また、被害時期も「これまで11月~3、4月だったが、今は年間を通して夏場も被害が出ている。果実が着き始めた5~6年木の幹が何度もかじられた影響で、8月の台風で倒れる被害も起きた。深刻な状況にあり、(被害額は)実態はもっと多いのではないか」と指摘する。

 奄美の被害額のうち鳥類のほうは計576万8千円で、前年度(8810万8千円)比93・45%減と大幅に減少。前年度8098万4千円だったヒヨドリが59万2千円まで減少したため。カラス被害(422万7千円)が7割以上を占めた。