鹿児島発ブランド「M4210」 西郷どんバッジや“持ち歩ける御朱印帳”が人気! 伝統素材×実用デザインの新提案
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鹿児島発のブランド「M4210」をご存じだろうか。西郷隆盛と愛犬ツンをモチーフにした刺繍バッジ、桜島の噴煙に見立てたティッシュケース……。思わず足を止めてしまうユニークなアイテムの数々は、一人の女性の「鹿児島への想い」から生まれている。立ち上げから約10年、約150のアイテムを手がけてきたブランドの現場を覗いた。鹿児島市の宿泊施設・レインボー桜島のお土産コーナーには、お菓子や薩摩切り子など鹿児島ならではのアイテムが並ぶ。そのなかで、観光客が必ず足を止めるというコーナーがある。
西郷隆盛と愛犬ツンをモチーフにした刺繍バッジ「せごどんばっじ」、取り出すティッシュを桜島の噴煙に見立てたティッシュケース「MOKMOK」――。鹿児島の風景や文化をユーモラスかつ愛らしく落とし込んだ雑貨が棚を彩っている。
「デザインを見て『これは売れる!』と思って置くことにした」とレインボー桜島の林佑輔副支配人は話す。これらの商品を企画・製作するのが、鹿児島発のブランド「M4210」だ。
M4210を立ち上げた四元麻理さんは、ブランド名を自身の名前に由来させた。本業はパタンナー、すなわち洋服の設計士。デザイン画をもとに、洋服を作るために必要な「パターン(型紙)」を製作する仕事だ。
「『なんの会社?』とか、一時期『ティッシュケースの会社?』って言われて。『クリエイティブ企業』、かっこよく言えば物づくりをする会社」と四元さんは笑う。
雑貨づくりを始めたきっかけは、ドラマ「西郷どん」の放映に合わせた展示会への出品だった。「この展示会に出品するために何か作ろうと思って作ったのがきっかけ」と振り返る。それから約10年、約150にのぼる鹿児島にちなんだアイテムを手がけ、鹿児島の風景や日常を落とし込んだ雑貨はたびたびコンクールで入賞。鹿児島の新しいお土産として注目を集めている。
実は四元さん、もともとは鹿児島への強い愛着があったわけではないという。「なかったと思います。東京にいる時は何年間か帰ってこなかったりとか」。
転機は東日本大震災だった。「家族と一緒に過ごしたいな」という思いから鹿児島へ戻ると、改めてこの地の豊かさが身にしみた。「帰ってきてやっぱり(鹿児島は)自然だとか人だとかほんと豊かで、そういったことをすごく身にしみて感じた」。その実感がアイテムひとつひとつに宿っている。M4210のアイテムに共通するのは、かわいくて実用性があること、そしてあふれる鹿児島愛だ。
取材当日、四元さんはスタッフと商品を飾る棚の見せ方を打ち合わせていた。「縦積みでもいいんですけど、立体的になっていると華やぐというか」。自分たちの思いのこもったアイテムをよりよく届けるため、妥協はしない。
そんな四元さんが見せ方にこだわった春の新作が、手のひらサイズの御朱印帳「掌(たなごころ)」だ。通常の御朱印帳の半分ほどの大きさで、表紙には大島紬や屋久杉を素材にしたものや、鹿児島市のデザイン専門学校とコラボしたイラストが描かれたものもある。
「ついつい持っていくのを忘れて御朱印帳が増えてくっていうことがよくある。鞄にすぽっと入れて持ち運びできるサイズがあったらいいな」という四元さん自身の体験が出発点だ。企画から3年をかけて作り上げたこの商品は、県内最大の特産品コンクールでも賞を獲得した。
3月20日には観光客でにぎわう鹿児島市の仙巌園で初めてお披露目され、「大島紬を使っているのが気になって。サイズもふつうの御朱印帳の半分なので」と購入した観光客の声も聞かれた。御朱印帳としてだけでなく、旅の記録をまとめるノートとして使うこともできる、新しいカタチの御朱印帳だ。
今後の展望について四元さんはこう語る。「徐々に私たちの元々持っている洋服作りの技術と、鹿児島の会社との物づくりというのが結びつきはじめている。それがうれしい」。
パタンナーとしての技術と鹿児島の素材・文化を融合させ、「鹿児島ならではの雑貨、お土産品を作りたい」という思いは揺るぎない。さらに「そういったものを若い子たちに伝えたい。教える場所をいつかは作りたい」とも。
「鹿児島のお土産といったらこれでしょ!」と言われる日も、そう遠くないかもしれない。