鹿児島県 ハンセン病市民学会分科会 奄美にも「ふれあい相談員」 回復者・家族、孤立解消へ 関西、沖縄活動報告 「一緒に関わる姿勢大切」
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奄美では2016年以来10年ぶり開催となったハンセン病市民学会の総会・交流集会は二日目の17日、奄美市名瀬の集宴会施設(奄美観光ホテル)では「地域で生きる回復者と家族が安心して暮らせる社会の実現のために」をテーマにした分科会が開かれた。医療や介護だけでなく生活支援などに対応する「ふれあい相談員」が奄美にも今年度から配置(2人)されたことを報告。回復者や家族の孤立解消のためにも未配置県をなくし、全国各地に身近に相談できる体制確立の必要性が挙がった。分科会を進行した大槻倫子・国賠訴訟弁護士によると、相談支援制度は国が社会福祉法人ふれあい福祉協会に委託の相談支援事業。同協会は「ふれあい相談センター」を設置し、ふれあい相談員に相談業務を委託している。統一交渉団(厚生労働省とハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会、同全国弁護団連絡会及び全国ハンセン病療養所入所者協議会)では、全国各地の回復者及び家族の相談支援にあたれるよう、「各地にくまなく相談員を配置するよう」要望を出し続けているものの、まだ実現していない。存在しない県が複数存在しており、大槻弁護士は「相談したい人がいるにもかかわらず不在となっている」と問題視した。
119人が参加した分科会では、全国で最も多くの回復者が地域で生活しているという沖縄県の在宅支援の取り組みや回復者・家族の相談・支援の現状と課題(ハンセン病医師や看護師の増員の一方、近隣の医療機関との連携は病歴を伏せている場合はハードルが高い)、関西における回復者の現状(退所者同士の支え、相談の大切さ)、関西における回復者・家族相談支援活動の実践例(ベランダの掃除など介護保険サービスでの適用外がかなりあり、支援センターの職員が訪問して対応)、ふれあい相談員としての活動事例(常に当事者と一緒に関わる姿勢の大切さ、病歴を明かさないと地域のサービスを受けることができず再入所も)が報告された。
奄美の現状については「当事者(回復者)がいなくなったら自分たちは関わりたくない。もう終わりにしたいという家族をたくさん知っている」という実情から家族同士の交流の難しさの報告に続き、4月から奄美在住のふれあい相談員として配置された中村保さん(75)が発言。社会福祉士・ケアマネジャーの中村さんは定年退職するまで東京にある国立療養所・多摩全生園でソーシャルワーカーとして勤務した実績がある。
中村さんは「周囲に知られたくないとして孤独死が現に起きている。まだ相談活動を始めたばかり。沖縄や関西の取り組みを参考に頑張って充実させたい。地域で悩みを抱えている皆さん(回復者・家族)はぜひ、相談(中村さん連絡先080・1160・7399)してほしい」と呼び掛けるとともに、「一番の問題は偏見・差別。徐々に理解されているものの、世代交代によって受け入れられると思っているが、若い世代にも残っている。改善するには正しい啓発(もともと隔離する必要のない疾病で、感染力は非常に弱い。確実に治る病気)が重要で、学校教育で人権教育を充実し、偏見・差別の解消を図ってほしい」と訴えた。
各報告やパネルディスカッションを受けてアドバイザーを務めた青木美憲医師(国立療養所・邑久光明園園長)は「相談支援事業のさらなる整備の必要性が喫緊の課題。相談員未配置県の解消、ハート相談センター(回復者や家族など対象)の設置とともに、相談対応にあたるスタッフの研修も欠かせない。相談員が信頼回復を築くにはこまめな訪問を重ね、相談に応じながら進めていくことではないか」とまとめた。