鹿児島県 バニラ林さん 教育講演 「挑戦できる奄美大島に」 「ご縁」感謝する人材育てて 試作品完成、使えるめど 龍郷町で
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龍郷町の教職員を対象にした2026年度教育講演会が3日、同町生涯学習センターりゅうがく館講堂であった。講師を務めたのが奄美市笠利町にある合同会社AMAMIバリュープロディース代表の林晋太郎さん(39)。林さんは地元・奄美大島について「魅力も多いが課題も多い。これからを担う若い方の挑戦が不可欠」として、リスクを恐れず挑戦できる環境づくりへ「人のつながり『ご縁』に感謝できる人材を育てて」と出席者に呼びかけた。93人が出席。碇山和宏教育長が講師紹介をしたが、今年1月に北大島地区(奄美大島北部)の校長・教頭の管理職を対象にした林さんの講演を聞いて「町内の先生方にも聞いてもらい、子どもたちの教育に生かしてほしい」との思いから実現したという。
同市住用町出身の林さんは大島高校から九州大学農学部に進学し、卒業後2010年に農林水産省に入省。農業土木を担当したが、外務省で勤務後、再び農水省に戻り農村振興(地方創生)などに携わった。その後、外交官として19~22年に在タンザニア日本国大使館(アフリカ)勤務。同国での農家支援事業でバニラ栽培を知り、22年に帰郷して天然香料「バニラビーンズ」の生産に取り組んでいる。キャリア官僚(国家公務員)を退職しての挑戦に「コロナ禍があり、ゼロからの貢献で人生を豊かにしたい、祖父母が生まれ育ったシマで何かをやりたいと考えたのが原動力」と語った。
奄美で農業をやるにあたってバニラ栽培を選択した理由では、①熱帯・亜熱帯地域で栽培できるが、亜熱帯の北限の沖縄や奄美は日本の適地②水やり、農薬、肥料が全くいらない(乾燥に強い)③加工(キュアリング)後、1年保存可能(悪天候で船が出なくても腐敗することがない)④スイーツとの相性がいい(地元産の島ザラメ、卵などを使用することで大きな付加価値)――を挙げた林さん。昨年5月末に初めて開花し、香りを引き出すため100通り程の実験を重ねた。「キュアリングがとても複雑。奄美に適したやり方を確立するため、条件を変えての実験。梅干しのような香りになることもあったが、最後にバニラのいい香りを引き出せた」
バニラの香りは、8割は甘い香りであるバニリン。残り2割が「何十種類の香味成分であり、これが難しい。土着の微生物もある」。試行錯誤を経て今年6月末に最初の試作品が完成。栽培開始から開花、収穫と4年間をかけた奄美産バニラであり、パティシエから「使えると評価された香りができた」。今後、量と質の確保へ引き続き生産に取り組むが、林さんは「バニラを通じ奄美の歴史文化を発信していきたい」と話した。
社名に掲げたように奄美の価値プロデュースへ「奄美の農業の価値向上」「奄美の特産物の価値向上」、さらに「観光目的の来島者の増加(農園を見る目的での来島者も出ている)」を成し遂げたいことで挙げた林さんは、人材を育てる教育の役割について「挑戦できる人材を後押しする環境づくりが大事。それには様々な支えに対し、感謝できる人材の育成を求めたい。『ご縁』を大事にする奄美であってほしいし、私自身もこれからも心掛けていきたい」と述べた。
出席者からの質問もあった。生産計画について林さんは、国内の輸出量約120㌧のうち「10~20㌧の生産(奄美大島産)を見込んでいる。協力農家と共に島内生産量を増やしたい」との目標を語った。