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桜島の噴火予測を温泉水分析で試みる高校生ら「青少年水大賞」最高賞…10年前の熊本地震被災、研究の道に

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 鹿児島市の私立池田高のチームが、温泉水の分析から桜島の噴火予測を試みる研究を発表し、高校生らの水環境に関する調査研究を表彰する「2026日本ストックホルム青少年水大賞」で最高賞を獲得した。リーダーは2016年の熊本地震で被災した3年の茶屋道(ちゃやみち)玲さん(17)。再び熊本を襲った地震に心を痛め、「自然災害の発生予測の発展につなげたい」と、近くスウェーデンで開かれる国際大会に向けて発表の練習を重ねている。(小野悠紀)

 「災害の研究をやっている一人として、予測できない状態が変わらないことへの悔しさが大きかった」。熊本が震度7の激震に見舞われた2日後の7月30日、同高理科室で取材を受けた茶屋道さんはこう語った。

 自然災害に関心を持ったきっかけが、10年前の小学2年の時に経験した熊本地震だ。当時、両親とともに熊本県北部の玉名市で暮らしていた。16年4月14日夜の前震、16日未明の本震と、最大震度7の地震が続けて発生し、玉名市でも震度6弱を観測した。

 本震の際、大きな横揺れで目覚めてリビングに向かうと、観葉植物が複数倒れ、陶器の鉢が割れていた。部屋中に土のにおいが広がったのを今でも鮮明に覚えている。

 学校はしばらく休校となり、先が見えない不安がわき上がった。同時に、「地震の発生は事前にわからないのかな」という疑問が芽生えたという。

 小学5年から鹿児島市に移り、先進的な理数教育を目指す文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定されている池田高に進んだ。約10ある研究班の中から自然災害に関連する「地球科学班チーム桜島」に入り、地元の活火山・桜島の噴火予測に関する研究を始めた。

 班の先輩たちは、噴火前に濃度が変化するとされる火山ガスを分析して、噴火予測ができないか試みてきたが、風向きの影響などで正確に分析することが難しかった。

 指導者の樋之口仁教諭(62)のアドバイスなども踏まえ、茶屋道さんたちが着目したのが「温泉水」だった。地下のマグマの動きが活発化すると、温度が上がって火山ガスが抜け出ることが知られている。温泉水に溶け込んだガスの成分濃度を分析すれば、火山活動の活発化を把握できるのではないか――。そう仮定した。

 班のメンバーは、24年5月から毎月1回、フェリーで桜島に渡り、島南部の古里温泉と有村温泉、北部の白浜温泉から試料を採取して解析を続けた。水溶液中の二酸化炭素濃度を測定する装置が高価なため、コロナ禍で使われた大気中の濃度を測定する備品を活用して代用機材を開発するなど工夫した。

 桜島は25年5月にマグマの蓄積などで山が膨らむ「山体膨張」が見られ、15~31日にかけて146回の連続噴火と、約37万トンの降灰が観測された。解析の結果、噴火前に温泉水の成分に変化があり、塩化物イオンの濃度が4か月前から、二酸化炭素とフッ化物イオンの濃度が2か月前からそれぞれ上昇していたことを確認した。

 「水のノーベル賞」と呼ばれる「ストックホルム水大賞」のジュニア版・青少年水大賞の国内審査では、「広域に展開することで、国際的な火山防災への貢献につながる」と高く評価された。

 京都大名誉教授で鹿児島市桜島火山防災研究所の井口正人所長(火山防災学)は「温泉水を対象にした着眼点が良く、理論を実証した研究だ。特にフッ化物イオンの分析は、桜島であまり研究されていない分野。継続的な頑張りの成果で、今後も観測を続けてほしい」と目を細める。

 茶屋道さんと2年のリーダー川路真愛(みお)さん(16)は、ストックホルムで開かれる国際大会に日本代表として出場し、23日(現地時間)に研究成果を発表する。

 7月の熊本地震を受け、自然災害の発生予測に懸ける思いが強くなったという茶屋道さん。「国際大会では活火山への備えの重要性を訴え、将来的には噴火の予測システムを確立して普及していきたい」と、研究が活用される未来を思い描いている。